中学総合講座「社会的な問題関心を拓くステップ ―生きること・働くこと・考えること― 」 第7回
2016.02.12
中学1年生から3年生の60名ほどが参加した総合講座。
第7回目のゲストは、横浜市立大学共同研究員・昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員の押田信子さんでした。
押田さんは、戦後長い間、ほとんど人の目にふれず、出版社の地下倉庫に眠っていた「慰問雑誌」に注目しました。戦時中に軍部の肝入りで発行されたこのメディアの誌面内容の体系的な分析に着手。その研究を続けています。また多くの近現代史研究者の共同史料となるように、そのデータベース化を行い、横浜市立大学での公開を実現しました。
今回は「幻の慰問雑誌に見るアイドル群像―70年前の少年・少女たちの戦争―」と題して、『戦線文庫』や『陣中倶楽部』という慰問雑誌の現物を生徒たちに回したり、当時の女性アイドルの画像を映し出したりしながら、この慰問雑誌は、前線の兵士たちにとって、また、銃後にいる老人や女性、子どもたちにとって、どのような存在だったのか。戦局が悪化するにつれて、『戦線文庫』などの慰問雑誌はどのように変わっていったのかなどについて、詳しくお話しをされました。
当時の女性アイドルたちが登場する慰問雑誌が戦地にいる兵士たちに配られ、またそれが、銃後の人々を戦争に動員する一つの装置として機能していた側面もあることを、具体的に絵解きするお話に、生徒たちは真剣に耳を傾けていました。
授業を受けた生徒たちの感想を引用します。
「貴重な資料を実際に手にして,ページをめくれたことはすごく良い経験だったと思います」
「今回押田さんの話を聞いて、感動したのは、押田さんの意志の強さだ。押田さんは、自分が探していた慰問雑誌を、ネット、古本屋などといったたくさんの場所で探したが見つからなかった。しかし、押田さんは「絶対あるはず」という気持ちを絶えず持ち続けた。私は押田さんは普通の人が諦めてしまう所から、その強い意志により、一歩前に進んだのだと思った。この話でとてもよく意志の重要性が分かった」
「私は押田さんの言葉でもっとも心に残ったのは、戦争は愛を分断し、愛を壊すという言葉でした。戦争は二度と起きて欲しくないと思いました」
最後になりましたが、お忙しいところ学校でお話くださった押田さんに厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。